

2014/8/19
ミシンの匠-4「注油の極意-その2:針棒への注油」
ミシンの匠であるメンテナンススタッフのつぶやき
私はタジマグループでサービスメンテナンスを担当しておりますスタッフで、タジマ刺しゅうミシンの販売代理店を技術面からサポートする業務を行っております。
日々の業務の中から刺しゅうミシンをお使いのお客様に役立ちそうな情報をご紹介できればと考えております。
4回目は前回に引き続きミシンへの注油のお話をさせていただきます。
-
- メンテ中のたじまん
前回は釜への注油についてお話しましたが、今回は刺繍ヘッドへの注油についてです。
刺繍ヘッドと一口に言っても注油のポイントはいくつかありますが、今回は最も頻度が高い針棒です。 針棒とは文字通り針がついた棒で、常に高速でストロークするので定期的な注油は不可欠です。
また、針棒には上下方向だけでなく横方向にも力が掛かるので、一旦油切れが起きると針棒ケースが摩耗して針棒にガタができてしまった、なんてことにもなりかねません。
最近では帽子刺繍と言えば3D刺繍が当たり前になりましたが、この3D刺繍は特に横方向の力が掛かかりやすいので注意が必要です。(補足1)
-
-
写真1:刺繍ヘッドの裏側から見た針棒上部
ちょっと前置きが長くなりましたが、では具体的にどこにどうやって油を差すのがよいのかを説明します。
針棒は針棒ケースの上下2箇所の穴を通るようにセットされていますので、この部分に油が染み込む必要があります。
ただ、すべての箇所にピンポイントで注油するのは大変です。
そこで、針棒ケースには(写真1・2参照)のように上下それぞれにフェルト(矢印)がセットされていて、これに油を含ませるように注油すればOKです。
-
- 写真2:刺繍ヘッドのカバーを外して見た針部下部
上側は、天秤カバーの隙間から針棒伝いに油が下に落ちるように注油します。(写真3参照)
下側は、カバーの穴から何滴か油が落ちる様に注油します。(写真4参照)
-
- 写真3:天秤カバーの隙間から注油
-
- 写真4:針棒カバーの穴から注油
こうやって書くと、とても簡単そうですが、実際にやるのは結構大変です。
なので、最初は面倒でも上下のカバーを外して注油のポイントを把握し、慣れてきたらカバー越しに注油すれば良いでしょう。
最後に大事なことを忘れていました。
針棒への注油の目安は、だいたい週1回です。
但し、注油のやり過ぎは刺繍製品の上に油が飛び散ったり垂れたりするので、十分注意してください。
補足1 : 3D刺繍の際に針棒に横方向の力が掛かるのは、ウレタン部分を縫う際に針が柔らかい方へ逃げようとするためです。